さて、この打掛最高難度は、やはり、「合口合わせ」です。
こんな風に反物で染められた打掛。「縫ったら柄が合うの、不思議じゃないでしょうか?」
機械で織っているものが多い中、こうして手描きすると、たとえ図案があっていても、それはとても難しいことでして。「水彩画で空や海を6枚描いて、繋げたら一枚の景色になる」と言えば、伝わりやすいでしょうか?
どんなに入念な準備をしても、いざ制作中に手がぶれれば、もう景色は繋がりません。それを成しえるには、ただひたすら、「心を込めて全力で」染めるだけです。開始直後も、12時間後も。
染めた後は、チェックを。縫い口で、絵柄が逢っているか、チェックします。
こうして、「柄と柄が出逢うことを、仕合せと言う」と、結婚式の定番のあの名曲でもありましたね。
ときつかぜの色打掛は、総絵羽(全部絵が繋がる)の、最高位の色打掛になっております。
豆知識を一つ。「ぼかし染めは、三段色が合えば、一人前」です。逆に言うと、それ以上の段数を合わせるのは至難の業だからです。普通に染めるのと違い、濡らしながら染めるので、先に染めているところと繋がるように目で合わせようとしても、濡らしているところは色が冴えるので、参考になりにくいわけです。
ときつかぜの母体の一真工房は、なんと60段、「日本一の段数」を合わせます。
縁が繋がるように、絵も繋がっているものをという、昔ながらのお着物の考え方を大切にしております。
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