打掛②『海と空の出逢う場所』

⑤12時間染めっぱなしの打掛

今日は、ときつかぜ独特の技法「風彩染」についてのお話です。

「風を染める技法」として、特許庁の証紙を持つ技法であり、1200年における着物の染め方で、初めて「白いぼかし染め」を創り上げた工房でもあります。

この染め方は、「濡れ描き友禅」というのが基礎にありまして、海藻の成分で濡らしながら、刷毛で手染めしていきます。

水彩画で空を描くときと同じことです。途中で止められないのです。まだ濡らしていない場所との境目で、水跡が付いてしまうので。

写真の下の方はまだ濡らしていない所です。

僕は、これを染めている間、一日の間に、生地の前で二回ご飯を食べています。それも、モスバーガー二個食べるのに、2時間かかっています。それほど手が離せないのです。そして、これだけの重口ですから、正午12時から用意を初めて、染終わりが午前1時とかもありました。

それでも、毎日のわくわくは止まりません。

今まで12時間絵を描いたって、疲れたと思ったことなんてなかったけれど、この染めは尋常じゃない。全部を出し切る全力疾走の12時間と、ジョグ&ランの12時間では体力の消費は全く違いました。でも、楽しい。筆が止まらない。

これだけ振り絞ると、ほんとに思います。

これを着てくださる花嫁の方は、幸せになるしかないです。

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