いよいよここまで来ました。細密に描かれた手描きの柄たち。これに、ーときつかぜー独特の伝統の技、「風彩染」を入れていきます。
二人がかりで染める打掛
通常は一人で染める打掛ですが、なんと二人がかりで染めていきます。二人三脚で走って、一人の時より早く走れるでしょうか?走れる人は少ないと思います。これが出来るのは、長年のパートナーだからこそ。
一真工房の立役者、三代富士子と、45年務めてくれているカズミちゃんが、染めています。
互いに息を知ったからこそできる、この業界でも珍しい光景です。
濡らしては染める「風彩染」は、途中で止められません。
生地が光っているのは、濡れているからなんですね。海藻の成分の水を独特の配分で調合して染めていきます。
途中で止められえない。ご飯も食べられないのですから莫大なエネルギーを使います。
手描きの中では一番のエネルギー消費なのは間違いありません。心配する僕(四代目洋平)が、「おなかすかない?」と聞くと、「年取るとおなかへらへんねん」って言っていました。仙人の域。。僕は、『海と空の出逢う場所』染めるとき、染めながら二食も・・・(笑)
こうしてぼかし染めを染めていくのは水彩画と似ています。それは、花嫁衣装にもふさわしい技法なんです。なぜなら、、、
同じものがない打掛
この打掛を染めることが出来るのは、ただ一度限り。
たとえ全く同じ色を用いても、同じようには絶対にできません。
「同じ風は二度吹かない」それが風彩染のテーマです。
一生に一回の結婚式の衣装に、これほどふさわしい打掛の染め方は無いのではないでしょうか
この打掛を着る花嫁は、たった一度の結婚式に、大輪の花を咲かせて頂きたいと願っております。
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