色を創る。そんな当たり前の作業も、色数がここまでなると、かなりの時間がかかります。
その数なんと170色。おそらく、日本一の多色遣いです。(一般的な打掛は20色~40色ほどです。)
昔、絵や漫画を描いていたころ、(『週刊少年ジャンプ』で入賞したことがあります)思っていたことがあります。
「色に清濁はあれど、みな美しい。」
ただ美しくない色合わせがあるだけで、色はすべて美しい、と。
でも、不思議なもので、変わりました。
それがお着物の色となると、「輝いている色」が存在するんです。それが分かるのが、着物目線の色合わせになっているということなのかもしれません。
色はすべて目分量、手作業で行います。
色が多すぎて、完成形をイメージするのがとても難しいです。けど、それをしなくては色は決められません。
また、170色すべてを「ぼかし染め」として描いていきますから、生まれる色はゆうに400色を超えます。
べた塗りの柄とは深みが変わるわけですが、その情緒こそ、日本の表現の本来のものです。
「お祝いの色をたくさん使おう。」そう思うと、渋めの色目がいつもより少なく、色のバランスを取るのは難しかったりもしました。
「これをレンタルして着てくださる方が、幸せになりますように。
心澄み切った日になりますように。」
そんな想いは、色づくりにも表れてきます。
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