お着物はすべて、「図案」をもとに創られます。
打掛と全く同じ大きさの絵を、一度草稿用紙と呼ばれる、裏面は水を弾く紙に描きあげます。
時には、この作業が一番時間がかかるかもしれません。
この打掛の図案は、本当に複雑です。
この打掛は、古典に則っていますが、その実、奥には三代たちの「生け花」免許皆伝の構図の要素や、水墨画の余白の使い方など、着物だけの知識を超えた、様々な日本文化の要素が入っています。
花の大きさも、1センチ違えばすべてのバランスが変わります。描いては消し、その恐ろしいまでの調整は、300時間に及びました。
いえ、むしろ、「たった300時間で描いた」と言い換えた方が良いのかもしれません。この道60年の、3代、富士子でなくては、これほどの図案を描くことは、京都の他の誰にも出来なかったと断言できます。
本当に、とことん、追及する。
尊敬する師匠であり、叔母です。
150年間追い求め続けている、女性を美しくする図案をご堪能ください。
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